ティール組織でスタッフが働きやすい環境を整えサロンを成長させる「BONDZSALON」鈴木太一さん

ニューヨークでトップスタイリストの経験を経て、2021年6月に東麻布でBONDZSALON、その翌年の2022年10月に2店舗目となるBONDZSALON表参道店をオープンさせた鈴木太一さん。
BONDZSALONは組織の拡大よりもスタッフの幸せを追及し、美容院では珍しい「ティール組織」を採用しています。
スタッフの長期休暇も実現させ、サロンも成長し続けるBONDZSALONの秘密を伺ってきました。

目次

スタッフが思うお客様の幸せを追求できるサロン作り

― BONDZSALONはどのようなサロン形態で運営をしていますか?

2024年1月現在では、社員は役員2人を除いて全員が業務委託でサロン運営をしています。
業務委託のスタッフが多い美容院運営の形態は珍しくありません。しかし、スタッフが自身の業務を遂行していれば大丈夫という考え方になりがちです。
この考え方が浸透してしまうと、個人は良いですがチームの強さが出てきません。
なのでBONDZSALONでは、個人ではなく組織として考えてもらいたいと思っているため、「ティール組織」という仕組みを採用してサロンを運営しています。

― ティール組織とはどのような仕組みなのでしょうか?

ティール組織には大きく分けて「セルフマネージメント」と「ホールネス」「存在目的」という3つの特徴があります。

セルフマネージメントは、BONDZSALONに所属しているスタッフの一人ひとりに決定権を渡して、自主的に行動できるという特徴があります。
そのため、一般的なピラミッド型の組織ではなく、フラットな組織となっています。役職などはないため、指揮命令でスタッフは動くのではなく、助言プロセスという形になっているのです。

助言プロセスとは、新しい取り組みや薬剤などを購入したいなど行動をしたい人が影響のあるすべての人に提案をし、アドバイスをもらうという流れです。
アドバイスをもらった人はその意見を受け入れて、自分の意思で決定をすることができます。そのため、アドバイスをした人全員が反対したとしても、提案者に信念さえあれば遂行することができるのです。
もちろん提案者には決定権と同時に責任も生じてきます。しかし、責任無くして人は成長しないので、たくさんチャレンジしてもらいたいと考えています。

― ホールネスについて教えてください。

ホールネスとは、周りを気にして偽りの仮面を被るのではなく、自分の人格や人間性をさらけ出して、ありのままの自分で仕事ができることを指します。
このホールネスには大きく分けて2つあります。

ひとつが個人としてのホールネス。そして、もうひとつが他者・他社との繋がりとしてのホールネスです。
個人としてのホールネスは、前述したありのままの自分でいられる状態になります。
ふたつ目のホールネスは、お互いの違いを認め合って個を尊重し、お互いの長所をもって協力関係を築いていくという意味です。

個人の考えで完結するのではなく、他のスタッフのことや会社のことを考えることで、自ずとチーム思考になると考えています。

― 最後に存在目的を教えてください。

会社に理念(目的)があるように、スタッフ個人にも目的があります。
会社の理念に完全に合致するのはもちろん良いですが、必ずしも全員がそうとは限りません。
ティール組織での存在目的は、完全に会社の理念と合致しなくても、一部でも重なった部分に行動をすることで会社にも個人にも有益な関係が生まれるという考え方です。

そのため会社はスタッフに対してどのような将来にしたいか、何を達成したいのかを説明を行いますし、スタッフもいつでも聞くことができます。

― BONDZSALONで働くスタッフは、シェアサロンで働くフリーランス美容師と近いマインドになるのでしょうか?

シェアサロンとBONDZSALONの大きな違いは、シェアサロンで働くフリーランス美容師は全てのことを自分で行わないといけないという点です。
美容師としてお客様に向き合うだけではなく、集客や薬剤の発注管理、税務などさまざまなことを自分自身でやらないといけないのです。BONDZSALONの場合は、そのような業務は会社が行うため、スタッフはお客様のことに集中することができます。

BONDZSALONでは売り上げを5つの口座に分けており、それぞれの使用用途は決まっています。
そして、スタッフはどんな情報にもアクセスすることができるようになっています。
この5つの口座の中にある経費口座は、利益が残ったら3ヶ月に一度スタッフに還元する仕組みもあります。

― 3ヶ月に一度ボーナスがあるイメージでしょうか?

そうですね。
この利益も均等に分類されるのではなく、役割の多さで分配率が変わる仕組みになっています。
チームに貢献した人ほど分配率が上がるため、経費を節約するだけではなくスタッフが積極的にチャレンジするようになりました。

このように、BONDZSALONでは、フリーランス美容師と同じような自由度を与えながらも、会社としてスタッフがお客様にしっかりと向き合える環境を整えて、しっかりと貢献した人に還元できる仕組みを整えるようにしています。

柔軟性のあるリスティング広告に注力している

― どのようにして集客をしているかマーケティング手法を教えてください。

BONDZSALONは、麻布十番と表参道という立地にあるため、オンラインマーケティングが中心です。
オンラインマーケティングでしたら、SEO・MEO・HPBの最適化を今まで主にやっており、最近リスティング広告を行うようになりました。

スタッフによる個人マーケティングはほぼ行っていません。
その理由は、スタッフがあまりやりたがらないからです。笑
そのため、BONDZSALONでは責任を持って集客するようにしています。

― BONDZSALONではどの試作が一番効果があると感じているのでしょうか?

マーケ専属のスタッフがブログのSEOに強く、そこからの流入が一番多くあります。
しかし、SEOはGoogleアップデートに左右されやすく、依存してしまうとSEOが下落した時にリカバリーが難しくなるというデメリットがあります。

我々にはマーケスタッフがいたのでSEOで効果が出ていますが、一番伸ばしやすいマーケティング手法はホットペッパービューティーの最適化です。しっかりと写真を揃えて、文言を入力さえすれば集客することができます。

現在はLPページ(ランディングページ)を作成した、リスティング広告に力を入れています。
リスティング広告のメリットは広告費をサロン側で管理を行えることです。
広告文などを調整することで、CPA(顧客獲得単価)を下げることもできますし、SEOのようにGoogleアップデートに左右されない点がメリットとなります。
そのためBONDZSALONではサービスで2つ、求人で1つのリスティング広告を運用しています。

― リスティング広告はどのようにして運営していますか?

先ほども言いましたが、リスティング広告の良いところは、広告費を任意で変更できるところです。
そのため、スタッフが増えたタイミングで広告費を増やして、集客が落ち着いてきたら広告費を下げるということをしています。

ホットペッパービューティーは集客することができますが、月額固定となるため調整ができないのがネックです。
集客をし過ぎてしまうとスタッフを入れ続けるか、お断りをしてロスを増やしてしまうかのどちらかになります。
集客できるからといってスタッフを急激に増やしてしまうと、BONDZSALONのカルチャーが崩れてしまう可能性があります。
そのため広告予算を変動させられるリスティング広告が合っていると思い現在力を入れています。

最良のマーケティングはスタッフを大切にすること

― マーケティングで大切にしていることはありますか?

美容院経営が傾くときは、スタッフが辞めるときだと思います。
そのため、我々はスタッフが働きやすい環境を作ることに注力しています。

もしスタッフが「こうして欲しい」という要望を出してきたら、それを美容院は反映していきます。
こうしてスタッフが働きやすい環境を整え、美容師としての仕事に注力できるようにしたら、自ずとお客様に対して自分が考える最高のサービスを行えるようになるのです。

スタッフが自己表現ができるようになり、美容院のことを好きになってくれたら退職する理由がなくなっていきます。
それでも独立したいという考えを持っているスタッフがいたら、独立支援をすることも視野に入れています。
ただし、BONDZSALONの仕組みを使ってくれる方限定です。
もし組織に不満があり自分なりにチャレンジしたいと思っている方の場合は、我々が入ると逆に枷になってしまうこともあるので、自分で頑張った方が良いと思いるからです。

― 今後チャレンジしたいマーケティン手法はありますか?

YouTubeです。
YouTubeはブログと同様に、ストック型のマーケティングです。
頑張って続けていたら将来の資産になるので、現在はノープランですがいつかやりたいと考えています。

SALON DATE

BONDZSALON
サロン名BONDZSALON
住所東京都港区東麻布2-33-4 vao Azabu 10 2F
URLhttps://bondzsalon.jp/
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